パワハラとは
最近、パワーハラスメント(パワハラ)が社会問題化しています。
メディアを通じてパワハラのニュースがよく伝えられているので、ご存知の方も多いと思います。
パワーハラスメントとは、権力や地位などの力関係を利用した嫌がらせのことです。
誰もが加害者や被害者になる可能性があるので十分な注意が必要です。
特に指導的立場にある人は、善意を持って適切に指導していると思っていても、相手にとってはパワハラだととられてしまうことがあるかもしれません。
このようにパワハラの定義は曖昧で、相手の解釈によっては何気ない行為もパワハラになってしまう可能性があるので、気を付けなければいけません。
厚生労働省では、パワハラを以下のように定義しています。
【パワハラの分類】
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
介護現場のパワハラ事情
介護現場においても、教育や指導といった範囲大きく逸脱して、敵意や悪意を剥き出しにしたり、ひどい場合には人格否定をするなど、ひどいパワーハラスメントが報告されてきています。
介護職は非常にストレスの溜まる仕事です。
そのため、ついつい周りの同僚たちにきつく当たってしまうこともあるでしょう。
そして、自分より劣っている相手を見つけては、言葉の暴力で意図的にいじめを行うということは実際にはあることなのです。
特に新人が標的にされてしまう場合が多いようです。
自分ではそんなつもりはなくても、忙しさのあまり、トゲトゲしい態度になってしまうことがあります。
もしかすると、多くの方がそんな経験をしているかもしれません。
しかし、そうなってしまえば介護現場での人間関係は悪化し、雰囲気も暗くなってしまうでしょう。
リーダーと言われるポジションにある人や管理職であればなおさらです。
施設長など、指導的立場にある人が厳しい態度で周りに接してしまうと、職場は居づらい場所変貌していってしまうのです。
そうならないためにも、意識して明るく振る舞い、周りに優しく接するようを心がける必要があります。
加害者や被害者にならないためのパワハラチェック
もしあなたが、「自分もパワーハラスメントをしているかもしれない」。
または「これはパワハラなの?」と不安なのであれば、以下の項目をチェックしてください。
これらの要素はパワハラに認定される可能性があります。
加害者にならないだけではなく、自分が被害者にならないためにも、パワハラの定義を知っておく必要があります。
■周りからせっかちと言われる
■無駄に過ごす事は耐えられない
■とにかく結果や結論を聞きたい
■ついつい理論的に相手を責めてしまう
■相手がぐずぐずしていると何が言いたいんだと言いたくなってしまう
■仕事ができない人を見るとイライラしてしまうことが多い
■欠点を言ったりマイナス思考の人には叱咤激励をすることが多い
■弱音を素直に吐くのは苦手
■相手の話をじっくり聞くのは苦手
■カッとなったりキレやすい
■沈黙は苦手
■言葉が強かったり溜め込んで爆発することが多い
■机をドンドン叩く
■舌打ちをする
■失意のため息をつく
■お前なんかやめちまえと口走る
■とっとと出て行けと口走る
■何度言ったらわかるんだと強く注意する
■出来て当たり前だと叱責する
介護現場でパワハラをしてしまう世代
介護現場のパワハラの対象
上記項目に当てはまり、相手を威圧するような行動とっていれば、あなたはパワーハラスメントの加害者、または被害者かもしれませんです。
特に比較的古い教育を受けている根性論がまかり通った世代は、多少の叱責は励ましと同義であって、むしろ好意として行ってる場合があります。
利用者(入居者)がまさに世代でしょう。
つまり、パワハラは利用者が加害者になることもあるのです。
介護現場でのパワハラは、職員間だけでなく、職員と利用者との間でも起こりうることを認識しておく必要があるわけです。
若い世代を叱責しないこと
しかし、今の若い世代にその考えは通じません。
自分の親にさえ怒られたことがない若い世代もいるので、叱責なんてもってのほかです。
彼らには愛情もって、まるで友人かのように接してあげることが必要なのです。
職員間はもちろん、利用者が行うパワハラにも十分目配りをして、精神的なケアをしてあげなければいけません。
パワハラ退職の結果は既存メンバーへの負荷に
パワーハラスメントにより、同僚が退職を決意してしまえば、その仕事は残ったメンバーの負担になります。
つまり、あなた自身や同僚の首を絞めることになるのです。
また、うつ病になってしまえば、同僚や管理職として、その責任を問われることになるかもしれません。
今、介護現場ではうつ病になる職員が沢山おり、それが社会問題化しています。
そうならないためにも、周囲との調和を考えながら、誰とでも優しく接する必要があります。
それがあなたの仕事の負荷軽減にもつながるのです。
最悪は裁判沙汰になることも
パワハラの疑いをかけられてしまえば、場合によっては裁判沙汰になってしまうかもしれません。
それに、そこまではいかなくても、少なくてもあなたの介護施設内での評判は落ちてしまうでしょう。
パワハラと思われる行為に、何のメリットもありません。
あなた自身が損をしないためにも、周囲への対応は十分な配慮が必要なのです。
介護パワハラの判例
パワハラ被害に悩んでいるなら
一方で、もしあなたがパワーハラスメントをされて悩んでいるのであれば、いくつかの対処法があります。
パワーハラスメントをする人に注意をしたところで、逆にもっとキレられる可能性があります。
そうなればあなたは一層の攻撃の対象になってしまうでしょう。
そのパワハラ地獄から抜け出せなくなる可能性もあるので、慎重に行動するようにしてください。
物的な証拠を残す
最低限できることは「証拠を残す」ことです。
実際のパワハラの現場を、ICレコーダーやスマートフォンを使って発言を録音します。
録音がバレてしまうリスクがある場合は、その内容を必ずメモにしてください。
相手、日時、場所、内容などを詳細に明文化しておきます。
これらの記録は裁判になったときに役立つばかりでなく、密かに証拠を持っておくことにより、相手に対し、対等の立場なったと心理的な余裕が生まれるメリットがあります。
他の被害者を探す
職場内に別の被害者がいるかもしれませんので、できれば共同で戦いましょう。
個人攻撃をすることをありますが、パワハラをする人は誰に対しても攻撃的な態度を取る傾向にあるので、あなた以外にも「被害者」がいる可能性があります。
仲間と情報交換できれば、心強く、精神的にも余裕ができるはずです。
経営者や施設長に相談する
直属の上司からパワハラを受けている場合は、さらに上の上司を頼るのが、パワハラのセオリーです。
他の被害者や事情に詳しく、あなたに有利な証言してくれる目撃者を味方につけ、一緒に訴え出られれば効果的です。
証拠に基づいて冷静に経緯を説明しましょう。
権限を持っている人が公式に指導してくれれば、態度を改める可能性は高くなるでしょう。
厚生労働省などの公的機関に相談する
厚生労働省が主管している総合労働相談コーナー、全国労働基準監督署など、公的な専門機関があります。
公的機関なので無料ですし、効果的なアドバイスがもらえるばかりではなく、状況が酷い場合には、強権的に環境を改善してくれることもあります。
自身の健康や入居者に重大な影響を与えている場合などは、相談することをおすすめします。
それでもダメなら、転職を考える
それでもダメなら、もしかすると転職を決意した方がいいかもしれません。
そうなる前に今いる介護施設を諦め、新たな介護施設への転身をはかるという選択肢も視野に入れておくべきです。
パワーハラスメントの被害は、転職を決意するに十分な理由となります。
くだらない人間関係に悩んでいるより、新たな世界で自分らしい働き方を実現する方がメリットも大きいと思います。
介護施設は常に人手不足の状態なので、有利な条件で転職することができるでしょう。
パワハラに悩み、ストレスを溜めているぐらいなら、いっそ自分らしい働き方を実現した方がいいかもしれません。
介護パワハラ・セクハラQ&A


セクハラ行為を上手くかわせるうちはいいですが、強引になったり暴力的になった場合はきちん言葉を発してください。利用者にはこのような行為が続く場合は、サービスの継続が難しいことや担当交代があり得ることを告げてください。
それでもセクハラが続く場合には、すぐ管理職に報告し、そのときの状況(日時、 場所、相手、具体的なやり取り)を手書きでもいいので書面に書き留めて報告してください。加害者が事実を認めない場合や「ヘルパーも喜んでいると思った」「感謝の気持ちを現した」などこのようなケースは貴任の所在が難しくなることも多いので、証拠を押さえておく必要があります。
その後は、ケアマネジャーや家族に伝え、対策を検討することになります。具体的には、再発防止に向け業務フローの変更や担当の変更などを協議する必要があります。
セクハラ被害はショックだと思いますが、自分を責めたり、実績を積んだこの仕事に対し、ネガティブに反応せず、同じような経験をした同僚から話を聞いたり相談したりして、この経験を 教訓にするよう前向きに捉えてください。