介護現場の事故
大変残念な事実ですが、介護現場には事故がつきものです。
もちろん程度の差はありますが、介護事故が全く発生しない介護施設はないと言っても過言ではないでしょう。
ヒヤリハットも含めれば、毎日、様々な事故の芽が発生しているはずです。
事故の被害者は利用者だけではない
介護施設に転職を考えている場合、ひとつのチェックポイントとして「介護事故」があります。
当然、介護事故が少ない方がいいという視点でチェックすることでしょう。
確かに事故がとても多く発生している介護施設では働くのは躊躇されますが、話はそれほど単純ではないのです。
本当に必要なのは、事故を未然に防ぐ体制であり、また、事故が発生してしまった場合の対応や再発を防止するための体制作りにあるといえるのではないでしょうか。
つまり、組織的な対応ができているかということが重要になるのです。
この体制がない介護施設で働くのは、とてもリスクがあります。
事故が起こった場合、職員の責任にされてしまう可能性もあるからです。
そうなれば、本当の被害者は介護職員かもしれません。
介護現場の事故の種類
介護現場において、かなり重大な事故につながる事象は、日常的に発生しているといってもいいでしょう。
また、事故になりかけたケースを含めれば、その数は膨大になると言えるのではないでしょうか。
入浴時の危険性
特に入浴中の事故などは命に関わることが多いので注意が必要です。
入浴中に少し目を離してしまったがために溺れてしまったというケースはよく聞く話です。
また、浴室の床は濡れているため滑りやすく、転んでしまった場合などは骨折などにつながることもあるので注意が必要です。
入浴中のストレッチャーに乗った状態での入浴ではストレッチャーに乗せるときに誤って床に落としてしまうなどということもあるでしょう。
さらに、急激な温度差による血圧の変動がもたらす「ヒートショック」は、心筋梗塞や脳梗塞のリスクがあると言われています。
お湯の温度が熱いために、やけどを負い、死亡する事故も懸念されます。
誤嚥・誤飲
さらに、食事のときも多くの事故が起こってしまうことがあります。
高齢者は嚥下能力が衰えているため、飲食物をのどに詰まらせ窒息したり、気管や肺に入り込み肺炎を引き起こしたりする危険性があります。
特にお正月のお雑煮のお餅などは重大な事故につながる可能性があるので、とりわけ注意が必要です。
転倒・転落
トイレの介助では、ちょっと目を離した隙に利用者が転倒してしまうことがよくあります。
また、トイレ以外でも、歩行中の転倒やベッドからの転落は多くの施設で発生しています。
施設の多くの場所には手すりが取り付けられていますが、それでも転倒事故は発生するのです。
転倒は骨折のリスクに直結しますし、一度骨折すれば、その後、歩行困難に陥るケースも出てきますので、相当な慎重さが要求されます。
このように介護施設での重大事故が頻繁に起こる可能性を秘めているといってもいいでしょう。
それは、どんなに注意をしていても発生してしまう懸念があるのです。
事故の防止に向けた施設の取り組み
2006年の介護保険制度改正時に、介護事故予防を強化する目的で「指定介護老人福祉施設の人員、設備および運営に関する基準」が策定されました。
事故防止に向けた各施設による指針づくり、事故報告の義務、事故防止に向けた委員会の設立、職員に対する研修といった内容が盛り込まれましたが、現実に正しく運用されている介護施設ばかりではありません。
残念ながら、これらをおざなりにしている施設も少なからず存在しているのです。
一方で、現場ではあらゆる事故防止策が議論されるよう求められています。
24時間体制で介護にあたる現場では、職員間の連絡・引き継ぎを徹底することは事故を未然に防ぐために必要不可欠ですが、慢性的な人手不足から、引き継ぎ業務が後回しにされるケースもあります。
また、現場を取りまとめるユニットリーダーや施設長のリーダーシップも重要ですが、ここにも手が回っていないことも多いようです。
事故防止の観点だけではなく、現場の緊張感を維持していくには、管理職のリーダーシップが重要ですが、コストと時間のかかる人材育成や教育に資源を回せない介護施設が多いというのが現実なのです。
軽度な事故を軽視する風潮は危険
そして、重大事故にばかり目がいってしまうために、比較的軽度な事故はそれほど深刻に捉えなくてもいいという風潮ができているとしたら、それはとても心配です。
死亡につながるような重大な事故には十分な配慮がされているとしても、小さな怪我程度の軽微な事故には報告義務さえない施設もあるぐらいです。
比較的規模の大きい介護施設では、事故の重大さにかかわらず事故が起こりそうな可能性を事前に察知し、業務全体を見直してトラブルの発生を防止しようとする動きがあります。
しかし、規模が小さく資本に恵まれていない介護施設の場合には介護職員の注意を促すばかりで業務全体の流れを見直すというようなことはありません。
これでは根本的な解決にならないため、どうしても事故が繰り返し発生してしまうのです。
まず、事故の実態を正確に把握することができるか。
また、事故や苦情が発生した場合、その内容を「事故・苦情報告書」などにまとめているかどうかを確認する必要があります。
そして、それをベースにして、事故や苦情を職員全体に周知徹底することができているかを確認してください。
事故への対応を確認する
例えば、全体会議で報告されているとか、職員に報告書が回覧されているのかなどを確認するとよいでしょう。
そして、業務そのものを改善する取り組みがされているかということがとても重要になります。
注意を促すだけでなく、仕事のやり方を抜本的に見直そうという動きがなければ事故は何度も起こってしまうのです。
このように介護施設によって事故への備えは様々です。
十分な対応によって事故を防止しようという施設に就職することで、あなたは事故のリスクから逃げることができるのです。
是非、このような施設での転職をお勧めしたいと思います。
介護職専門転職サイトの活用が便利
介護職専門の転職サイトであれば、介護施設の情報も豊富です。
もちろん、裏の事情までわかっているので、本当にいい介護施設だけを紹介してくれます。
自分で転職先を探すだけではなく、介護職専門の転職サイトを探すといいでしょう。

