その介護施設は組織化できているか
介護施設の優劣を判断する際に見るべきポイントのひとつは、組織的に介護サービスを提供できているかです。
提供している介護サービスの質が日によって変化するようであれば、これはとても大きな問題と言わざるを得ないでしょう。
そのため、介護施設側でもサービスの質を担保することが重要だと認識するように意識が大きく変化してきています。
介護サービスの質を保証するということは、単に利用者への配慮を意味するだけではなく、実は施設で働く従業員の労働環境とも深く関わる重大な問題だと認識されてきているのです。
介護施設におけるマニュアルの功罪
介護施設のマニュアル化批判
この介護サービスの質の保証は、「マニュアルの有無」に現れてくるといっても過言ではないでしょう。
介護の世界では仕事の手順をまとめたマニュアルを批判する声が少なくありません。
マニュアル通りの挨拶は感情がこもっていない。
マニュアル通りに行動すると職員の個性がなくなってしまう。
利用者は一人一人違うはずなのにマニュアルの画一的な内容だけでは対応できるはずがない。
マニュアルに載っていないことが起こった場合適切な対応ができないのではないか。
というような批判が多く、マニュアルを作っても意味がないという声が多いのです。
介護現場ではマニュアルが必要
しかし、このマニュアル不要論は適切とは言えないと思います。
ベテランの介護職員であればマニュアルは必要ないかもしれませんが、実際の介護現場では20歳前後の新卒者を中心に、多くは20代の若者で占められているのです。
マニュアルがなければうまく仕事ができないという職員も多いのが現実ですし、マニュアルがあった方がより安全で安心して介護が提供できるという職員も多いはずです。
全く勉強したことがないという人や学校で介護を少し学んだ程度の人が介護施設に就職した場合、マニュアルを活用しながら現場で経験を積む方が本人にとっても安心できるし、また教育上も効率的で効果的でもあります。
5年程度の経験を有している職員でも後輩を教育するほどの技術や知識を持っていると言う人は決して多くありません。
現実的にはマニュアルがなければ、やはり現場は回らないという危うい状態であるというのが実態なのです。
現場のマニュアルの有無
しかし、実際にはマニュアルがないという施設も多く存在しています。
そのために先輩職員が新入職員たちに口頭で教育を行うという、危ういやり方を実践しているところも多いのです。
これでは基本的な介護のやり方を間違えて教えてしまったり、逆に正しく教えていても間違えた解釈をされてしまった場合などでは、介護サービスの質に大きな違いが出てきてしまいます。
残念ながら、これが介護現場の実態と言っても差し支えないかもしれません。
つまり、介護現場では一般企業とは全く違う状態で教育がなされており、間違ったいい加減な人材育成が長期にわたって続けられてきているのです。
介護サービスを客観的かつ冷静に分析できてるかといえば決してそんなことはありません。
安全な介護サービスを長期的に継続しようとするのであれば、やはりマニュアル化が必須なのです。
もし、就職先として介護施設を考えているのであれば、 1つのチェックポイントとして「介護マニュアルの確認」はとても重要です。
また、その内容も極めて重要であると言えます。
マニュアルがあってもその内容が薄っぺらい簡単な冊子のようなものであれば、実際にマニュアルはあってないようなものです。
本当に価値がある使えるマニュアルであるかどうかは、働きはじめてからとても重要になるので、就職するときには事前に確かめておいた方がよいでしょう。

