介護現場の不満
介護は労働集約型の仕事です。
言い換えれば、多くの人によって成立している職場なのです。
経営者、施設長、管理職。
それに多くの同僚がいて、さらに医師や看護師などの関係者が多いのも介護職の特徴のひとつです。
年齢の幅がある上に、女性が多い中に男性が混ざります。
この年齢と男女の性別が人間関係をより複雑にします。
それだけに、介護の現場はストレスが多く、つい周りの同僚に当たってしまうこともあるでしょう。
自分のイライラを周りの人で解消してしまうと、それが原因で人間関係が悪化してしまうことがあります。
これを繰り返していると、職場での人間関係は最悪になり、いずれ辞めなければいけなくなります。
同僚を認め、相手の話をよく聞き、相手を思いやる気持ちを持たなければ、介護現場での人間関係を正しく構築していくことが難しくなってしまうでしょう。
気持ちよく介護の仕事を続けていく上でも、周囲との人間関係が何よりも重要になってきます。
介護職の人間関係の問題
介護の職場は決して仲良しが集まった集団ではありません。
そのため、気の合わない人が出てきてしまうのは仕方のないことです。
このような人間関係がストレスになるのはわかりますが、ときには自分を押し殺し、感情をコントロールしながら仕事を進めて行くのが社会人としてのルールです。
とはいえ、介護職独特の問題として、閉鎖された環境の中での、同じ利用者、同じ職員との関わりが多いという環境があります。
さらに、夜勤などで気の合わない職員と二人きりで仕事をすることが多く、部署の移動が少ないため、気の合わない上司や同僚と離れる機会が少ないという事情もあるでしょう。
看護師と介護職員の関係性悪化も大きな問題ですし、その結果として、派閥ができやすく険悪な雰囲気が生まれやすいという特徴もあります。
確かに、介護職は人間関係で悩みやすい環境にあるのです。
利用者やその家族との人間関係
また、利用者やその家族との関係も重要です。
現場のスタッフにとって、大きなストレスとなる要因に、利用者および家族との人間関係があります。
この人間関係が辛いという声が多いのも事実ですが、利用者の暴言や暴力に悩まされていたとしても、思いやりを持って介護していくことが望まれます。
また、現場の苦労に理解のない家族がいたとしても、文句も言わず我慢していくことが介護のプロフェッショナルとしての条件です。
介護職なのだから当たり前といってしまえばそれまでですが、心のエネルギーが低下している状態で利用者や家族からのきつい言葉などを受けると、スタッフ側の反応もつしきつくなってしまうおそれかあります。
これを放置すると、仕事への意欲が低下したり、介護拒否など現場への負担が増すリスクが高まりかねません。
また、家族との関係が悪化すれば、施設へのクレームが急増したり、ちょっとした事故などで即訴訟などに至るケースも増えてきます。
職員を守る仕組み
必要なのは、現場の職員と利用者・家族の関係が良好であるかどうかを把握することです。
その前提として、職員に対し、利用者・家族にどう対処するかの研修を積むこと、その上で、問題があれば職員と利用者・家族の両方へのケアを行います。
その際に有効なのは、ロビーに置かれた「意見箱」や家族との定期的な手紙交換、そして、利用者への面会時に管理者が意識的に声をかけるなどの手法で、とにかく職員に直接クレームが届かないようにする仕組みです。
メモを習慣にする
こうした職員を守る手段を確保した上で、それでも現場スタッフに訴えが向く場合には、そのための対処法をあらかじめ教えておく必要があります。
基本は、まずクレームに対しては、言い訳をせずに「申し訳ありません」と頭を下げることから始めます。
そして、どのような訴えであっても黙って耳を傾けます。
その際、実行したいのは、現場スタッフに常にメモ帳を携帯させ、その場で必ずメモをとるという習慣です。
これは訴えの内容を正確に記憶しておくという点だけでなく、「メモをとる」という行為自体が相手に対して真摯な印象を与える効果があります。
そして、こうした訴えがあった場合には、必ず管理職に報告させます。
報告を受けた管理職は家族に対して早急にリターンを行い、家族側の納得をきちんと引き出します。
仲の悪い職員同士の関係を
介護施設内の人間関係を円滑にする手立てをいくら考えても、すべての人が仲良くなるはずはなく、必ず対立は生じるものです。
特に、特定の2人が反発し合う険悪な関係は、大きな問題に発展する可能性があるので、早めに芽を摘んでおいた方がいいでしょう。
こうした対立の空気は、ほかのスタッフの現場業務に悪影響を与えかねませんので、十分な配慮が必要になります。
異動などによって両者を引き離すのがセオリーといえますが、中小規模の法人では柔軟な異動なども難しいでしょう。
そこで、せめて両者の対立がほかの現場スタッフに波及しない方法を考えます。
例えば、対立のエネルギーを「業務の向上」に振り向けられれば、チーム内に悪い空気を生み出すという流れを押しとどめられるかもしれません。
業務上でコンビを組ませる
例えば、あえて両者を組ませて、重要業務以外で何かしらのプロジェクトなどを任せます。
感染症対策のマニュアルを更新する、あるいは、定期的な法人内研修プログラムの立案、感染症対策マニュアルの更新に、防災対策マニュアルの更新など、イべン卜性のあるものがよいでしょう。
その際、同時並行で類似のプロジェクトをもう一つ設定し、別の「比較的チームワークのとれているペア」に任せます。
つまり、ほかに競争相手がいるということを意識させることで、「足を引つ張り合っている場合ではない」という状況をつくるのです。
もちろん、最初はゴ夕ゴ夕感が強まるでしょうが、ほかのチームの進捗状況を定期的に伝えてプレッシャーをかければ、やがては「対立のエネルギーを業務の向上に向ける」というシーンも生まれるでしょう。
一種の賭けではありますが、「雨降って地固まる」という状況を設定していくことも、長期的なチーム運営を行う上では必要な方策と考えたいものです。
介護の仕事と人間関係のストレスは切り離せない
このように難しい人間関係がある介護の仕事ですが、これを続けていくということは、人間関係によるストレスを許容していくということに他なりません。
しかし、そのストレスを少しでも軽減していくためには、自分の気持ちの持ちようが大切です。
介護の仕事を楽しむ姿勢と周囲の人達といい人間関係を構築していこうとする心がけが何より重要になります。
もし、介護の仕事にストレスを感じた時は、自分の心に以下の質問を問い掛けてみてください。
今、自分の心がどのような状態なのかがわかると思います。
周囲の人に気を使いながらも、自分の言いたいことを正しく伝えるという姿勢を忘れなければ、必ず介護現場では良い人間関係が築けるはずです。
人間関係ストレス度チェック
以下の設問に答えながら、自分のストレスをチェックしてみてください。
■話し手の態度や言い方より、話す内容が大事
■友人と話すとき、自分の方が会話している時間が長い
■相談事をされたら「頑張って」「あなたなら大丈夫」と励ましてあげることが多い
■相手が話してくれた内容を一般化したり、「あなたがいいたかった事はこういうことですね」と整理する方だ
■悩みを打ち明けられたら、アドバイスしたり自分の体験談を話す
■相手が話してくれたことには必ず自分の意見を言うようにしている
■相手が取り越し苦労をしていたら、「思い過ごし」「気にしないで」と言ってあげる
■悩みを打ち明けられた場合、その悩みを解決してあげないと意味がないと思う
■相手が暗い話をしたら、話題を変えたり、冗談でごまかすことがある
■相手の調子にあわせて、作り話をしたり、軽い嘘で話を盛り上げることがある
■相手が口ごもっていたら、いろいろな質問をして助けてあげる
■相手が落ち込んでいたら、明るい話をして元気付けてあげる
■打ち合わせの席で、「でも」「それより」「と言うよりも」ではなく、「こう改善できる」という提案をしている
■自分が批判や非難をされたら、真意や事実を分かってもらえるまでとことん話したい
■会話が途切れると黙っていられなくなる
■相手の話があちこちに飛ぶと、イライラしたり、話をまとめてあげようとする
■だらだらと前置きの長い話をされると、イライラして怒りっぽくなる
■価値観の異なるときは話を聞くのをやめることがある
■相手の感情的になったら相手の気持ちを落ち着かせるために論理的に対応する
人間関係に疲れてしまったら転職を視野に入れる
人間関係によりストレスが限界を迎えてしまった場合、転職も次の選択肢になるでしょう。
但し、ただでさえ忙しい今の仕事をやりながら、転職活動をするのは、なかなか難しいのが現実だと思います。
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