介護職のストレス要因
介護の仕事では、とてもストレスがたまります。
このストレスは介護現場において非常に深刻な問題として捉えられています。
民間企業において利益を優先するのは当たり前になっていますが、介護の現場では利益を追求する姿勢はあまり求められません。
むしろ、利益の追求は「悪」との風潮さえあるくらいで、なによりも奉仕する精神が尊ばれるのです。
そのために、競争があまり好きではない現代の若者は「利益を追求しなくていい」「競争しなくていい」との理由だけで介護業界に進んでくるのです。
介護は人の役に立つ高貴な仕事であり、良いことをしていると信じ込んでいる介護職員が多いのも事実です。
つまり、競争せず、自分は良いことをしていると考えている真面目なタイプ、言い換えればストレスに弱いタイプの人が集まってきてしまっている現状があるのです。
ところが実際の介護現場では、たくさんのスタッフが集まって組織を作っており、みんなでひとつの仕事をしていく点では民間企業と何一つ変わりはなく、そこには複雑な人間関係が横たわっています。
自分の信念に基づいた介護がしたいと思っていても、上司や先輩スタッフがそれを認めてくれるとは限りません。
介護職員はそれぞれ考え方が違うので、自分のやりたい仕事ができないと悩むかもしれません。
このような状況だと、自己実現ができないと思い悩み、仕事上のストレスを溜めてしまうでしょう。
利用者やその家族との人間関係ストレス
同僚である介護職員ばかりでなく、頑固な利用者やわがままな入居者に対するストレスもかなり大きいものになるでしょう。
さらに、利用者の背後には介護に対する理解がない家族もいるのです。
そして最近では、認知症の利用者も増えているために、どう接していいか悩んでいる介護職員が多いのも事実でしょう。
朝から晩まで昼夜を問わず、大きな声で叫んでる利用者も多くいます。
1日中テーブルを叩いて大きな音を出している人もいます。
どこに向かうでもなくただひたすら歩いているような人もいたりして、場合によっては転倒による怪我をケアしなければいけない状態がずっと続いてしまうのです。
もし事故があったら・・・
そのときは自分の責任になってしまうのか・・・
これではものすごくストレスが溜まり精神的に参ってしまうかもしれません。
介護の現場は非常にストレスが溜まって気の休まらない決して休めない職場なのです。
これでは働きたいスタッフが増えるはずありません。
ただでさえ介護職員が少ない中、1人にかかる負担が増えてしまい、さらにそれがストレスになっていく、悪循環に陥っている介護現場が多いのが現状でしょう。
中には夜勤が精神的な負担になっているケースもあるかもしれません。
多くの介護施設は理想の介護を追究しようとしますが、そのために介護職員のストレスの増大する皮肉な結果になっているのです。
実際、介護現場でのストレスは「仕事の大変さ」「給料が安い」「スタッフが少なく一人あたりの作業負担が大きい」「肉体的な負担」などがあります。
また、「人間関係」も大きな負担になっています。
ただ、人間関係といっても、それは多方面に及んでいます。
利用者・入居者との関係、上司との関係、同僚との関係、部下との関係など、すべての関係に対し配慮が必要となるため、かなりのストレスになるのです。
そもそもストレスとは
ストレスとは、なんらかの刺激によって変化する「心や体の状態」です。
あくまで自分が主体であり、決して、相手や外部環境を指すわけではありません。
例えば、苦手な上司に嫌味を言われたとします。
この場合、苦手な上司が言った嫌味は「ストレスの原因」です。
ストレスは、自分が感じたイヤな思いや腹立たしさになります。
ストレス=嫌なこと?
ストレスはあまりいいイメージで捉えられません。
上司や利用者などの人間関係、仕事のプレッシャー、通勤、多忙な仕事、安い給料などが思い浮かぶかもしれません。
しかし、ストレスが全て嫌なことでありません。
苦手な上司と一緒に仕事をするのも、好きな異性と一緒に過ごすのも、心の状態の変化なので、言わば「ストレス」なのです。
嫌だとか、面倒くさいとか、楽しいとかではなく、心と体に受けるありとあらゆる刺激こそがストレスなのです。
ストレスには「精神的」と「肉体的」なものがある
ストレスと言っても一様ではありません。精神的なものと肉体的なものがあります。
うれしい、愉快、楽しい。不愉快、悲しい、つらい、泣きたいなどと感じるのは、精神的なストレスになります。
一方、激務や夜勤、長時間の通勤、睡眠不足などは、肉体的ストレスになるでしょう。
このようにストレスには精神的なものと肉体的なものがあり、原因も多種多様です。
また、同じ事象でも個人の性格や思考パターンの違いなどにより、受け止め方が違ってくるので、すべての人が同じストレスを感じるとは限りません。
ストレスの相談相手はいるか
あなたは抱えているストレスを誰かに相談しましたか。
上司や同僚、場合によっては後輩や部下でもいいでしょう。
ひとりで問題を抱えてしまうと、ストレスが解消できずにネガティブな思考に陥り、「もう介護職を辞めたい」と思うようになってしまいますし、最悪の場合、メンタルの病気になってしまうことさえあるのです。
まずは周囲の人に相談してみてください。
誰かに話すだけでもイライラが低下し、ストレス解消になりますし、上手く解決に導いてくれるかもしれません。
また、最近では一定規模の事業所には「ストレスチェック」が義務付けられています。
このストレスチェックを行うだけで、モヤモヤが解消され、ストレスが発散されるかもしれません。
もしストレスチェックを導入していないのであれば、上司に導入を提案してみてもいいでしょう。
介護ストレスの解消法
このように、介護はストレスの多い職場です。
経験を重ね、責任ある立場になってくれば、職員だけではなく、利用者やその家族にまで気を遣わなければいけなくなります。
そうなれば、適度なストレス発散が重要になります。
一般的なストレス解消法には、以下のような方法があります。
自分の趣味を楽しむ
音楽を聴いたり、ゆっくりお風呂に入ったり、甘いものを食べるのもいいかもしれません。
また、大声で歌ったり、気の合う仲間とカラオケ大会をすると元気が出るでしょう。
スポーツをするのも効果的です。
一人で悩まない、誰かとよく会話する
とにかく誰かと話す!これは最高のストレス解消法です。
家と会社の往復だけの人生にしない
仕事帰りに映画を見たり、スポーツジムに行ったりすると、単調が生活にメリハリが付きます。
たまにはプチ贅沢する
大好きなお酒を飲んだり、美味しいものを食べたりすると気分が晴れますね。
部屋の掃除や模様替えをする
気分転換になるので、身の回りをきれいにして、雰囲気を変えてみましょう。
ポイントは「あまり一人で問題を抱え込まない」こと。
そして、とにかく気分を変えることです。
仕事とプライベートを分けて、頭と体と心をしっかり休めることが大切なのです。
森林浴でリフレッシュする
自然に触れる行為は、ストレス発散に最適です。
精神的な癒しはストレス解消につながり、肉体的には血圧が下がったり、免疫力がアップなどの効果があります。
副交感神経が優位になるので、気持ちが落ち着くでしょう。
マッサージやツボ押し
血流改善やホルモンの分泌を促す効果が期待できます。
身体がほぐれれば、結果として免疫力が上がるので、肉体的にも健康的になれると思います。
同時に副交感神経を活性化させるリラックス効果があります。
自律神経のバランスが整えば、快眠できるでしょう。
その他の方法
■とにかく癒される
■猫の鳴き声を聞く
■岩盤浴で汗をかく
■自然に触れる
■好きな映画を観る
■お笑いライブで笑う
■好きなミュージシャンの曲を聞く
■カラオケで全力で歌う
■イルミネーションを見る
■コスプレで変身する
■占いを受ける
■旅に出る
■読書をする
■写経をする
■頭をからっぽにして、なにも考えない
■誰かと手をつなぐ
■泣く
■昼寝をする
■買い物をする
■ただひたすら書き殴る
■パンチバッグを叩く
■塗り絵に挑戦する
■妄想する
■適度な運動をしてみる(散歩程度)
■バンジージャンプ
■ボルダリング
■プールで泳ぐ
■ヨガで瞑想してみる
■ダンス
■なにかを応援してみる
■スクワット
■馬と触れ合う
■ボーリング
■滝に打たれる
■釣り
■芸術鑑賞
■クラシック鑑賞
■恋愛
■美男美女を見る
■暗算や計算する
■好きなものをお腹いっぱい食べる
■目覚めの一杯にココアを飲む
■辛い食べ物る
■皿を割る
■断捨離してみる
■音楽を爆音で聞く
ストレスが解消できない場合
もし、あなたが介護の仕事をしていて日々ストレスにさいなまれていて、それが解消できないレベルに達しているなら、できるのは「転職」かもしれません。
労働環境の良い介護施設を探せれば、あなたは自分が理想とする介護を実現できるかもしれません。
世の中にはまだ転職をよしとしない風潮が残っているかもしれませんが、そのために自分を抑えつけてしまうことが正しい選択とは言えないと思います。
より条件の良い介護現場を探し、自分の理想とする働き方を実現する方が何より重要なのです。
今は介護職専門の転職サイトがあるので、そのようなサイトを使って理想の求人を探す事から始めてみてください。
介護職は慢性的な人手不足が続いている業界です。
高齢化が進展する今後は、その傾向が益々強くなるでしょう。
そうなれば、売り手市場です。特に資格を持っていて、一定の経験があれば、かなり選択の幅は広くなり、理想的な介護施設を選べる可能性が高まります。
是非、自分に合った最高の介護施設を探してみてください。