介護現場における「理想の介護」
介護現場の問題点としてよく言われることは「自分の理想とする介護を実践する」ということです。
つまり、介護職員個人の思いを優先するという発想であり、組織として介護サービスを安定的に提供しようという発想は残念ながら見られないのです。
一定の質を保ちながら責任を持って介護サービスを組織として提供するという社会的な常識が吹き飛んでしまい、あくまで個人の発想に基づいて自分の意向を反映した介護を提供するという理屈がなぜかまかり通ってしまうのが介護の現場なのです。
本当にこれで理想的な介護が提供できるのでしょうか。
介護施設としての基本的な介護方針
本来介護施設というのは、基本的な介護方針があり、そこで働く介護職員全員がそれに従って組織として理想とする介護を提供するというのが本来の姿なはずです。
しかし現実には、個人の思惑が優先してしまい、組織として統一された介護を提供できてないというのが非常に問題なのです。
介護施設が持つ理念に従って介護が提供できていれば、そのノウハウは組織として蓄積されていくはずです。
しかし、個人の考えに基づいて属人的な介護を提供していると、いつまでたっても組織として統一されたノウハウが蓄積されていかないのです。
介護方針の不在は利用者の不利益になる
これはそこで働く介護職員にとっても、利用者にとっても不幸な出来事になります。
それが小さなことであれば重大な問題にも発展しませんが、着替えや事故に関係する大きな方針に個人の意見が入っているとすれば、利用者の生命に重大な影響が及んでしまうのです。
これは介護施設にとってあってはならないことであり、本来であれば早急に改善すべき出来事ですが、個人の思惑が優先的にまかり通ってしまう文化がある介護施設においては、それが当たり前となっており、改善の対象としてすら見られなくなってしまうのです。
介護方針がないために事故が起こったら・・・
もし、こんなん介護施設で働くことになれば、とても危険です。
あなた個人の判断で重大な事故を引き起こしたと責任を押し付けられてしまう可能性があるのです。
そうならないためにも、就職や転職する前には、必ずその介護施設の介護方針や現場レベルでの意思疎通のあり方を確認しておいてください。
介護施設としての統一された介護方針があり安全に介護が提供できていれば、そこで安心して働くことができるでしょう。
しかし、あくまでも属人的な判断によって統一されていない介護が提供されているとすれば、そこで働く意味は半減してしまうかもしれません。
ただし、介護方針に基づいて安定的な介護が提供できている介護施設であるかを確認することが何より重要なのです。