介護の仕事

支援相談員や医療ソーシャルワーカーの仕事と役割り

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在宅復帰を支援する支援相談員

福祉施設と介護老人保健施設の違い

支援相談員が配置されているのは「介護老人保健施設」です。

介護老人保健施設とは、医療、看護、介護、リハビリのサービスを提供しながら、在宅復帰をめざす人のための施設です。

具体的には、退院の希望があるものの、在宅での生活に不安があるので、在宅生活を行なうために必要となるリハビリなどの医療的ケアを提供しますので、医療機関と在宅の中間に位置する施設と言えるでしょう。

介護老人保険施設は、終の棲家としての機能を有する指定介護老人福祉施設、または他の福祉施設とは明らかに役割と機能が違っています。

中間施設の相談員

支援相談員は、介護老人保健施設への入所前から相談を受け付けます。

ただし、入所前相談の際も「在宅復帰の可能性」という視点が強く求められます。

利用者が施設に入所したときから、在宅復帰に向けた支援が開始できるように準備していくのです。

当然、利用者やその家族にもその趣旨を伝え、合意を得ておく必要があります。

しかし、介護老人保健施設においても、在宅復帰困難な入所希望の相談が非常に多くなっている現実もあります。

このような利用者には、本人や家族に利用可能な福祉施設や住居型の事業所の情報を提供しながら、その仲介の援助などを行なうことで、利用者が安心して生活できる場が得られるように援助していきます。

退所後のフォローアップ

支援相談員は、入所者が在宅復帰した後も、在宅生活での問題の有無などを訪問して相談に応じることがあります。

もし、何らかの問題が発見された場合は、利用者を支援している介護支援専門員(ケアマネジャー)と連携し、必要かつ有効な支援が確保できるよう援助していきます。

 

施設サービスの調整をする介護支援専門員

ケアプランと相談業務

介護保険施設の介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務で、基本的で最重要な業務が「施設サービス計画(施設ケアプラン)」の作成です。

介護支援相談員は、ケアプラン作成過程で施設のサービスについての相談業務を担います。

利用者や家族の意向を把握した上で、解決すべき課題とのすり合わせを行ないます。

また、ケアの実施過程で起きる事故や苦情に対応する場面でのリスクマネジメントなど、さまざまな場面で相談面接援助を実施します。

介護支援相談員は、利用者に対して施設での生活全般を支えるケア環境の整備を行ない、さらに利用者のQOL(生活の質)向上を実現するためのケアプラン作成支援を行なう重要な役割を担っています。

介護支援専門員の業務

介護支援専門員と支援相談員との違いは、相談内容にあります。

支援相談員は、施設利用者が日常生活のなかで起きる不安やトラブルに対して相談業務を行ないます。

利用者間や家族との人問関係等、生活のなかで予測できないトラブルが発生したときの受け皿となるのです。

これに対して介護支援専門員は、施設ケアの調整役であり、総合的なケアの提供という視点で、計画作成と実施の過程で相談業務を行ないます。

ただし、業務が異なっても、利用者の生活を支えるという点で、介護支援専門員と生活相談員や支援相談員は協力して対応することになります。

地域の資源を施設に引き込む力

施設ケアブランを作成する際は、施設内のサービスだけを対象とするわけではありません。

家族の協力や周辺地域の社会資源を取り込むよう、俯瞰的な視点が必要になります。

介護支援専門員は、家族への協力を仰いだり、地域への働きかけをします。

しかし、その支援過程では、考えの違いや意思疎通の不徹底によるトラブルが発生するときもあります。

その場合に関係者からの相談に応じて、トラブルを解決しなければいけまえん。

そして、利用者への支援継続を目指すのです。

常に利用者の立場に立ちながらも、家族や関係者とバランスを取り、最も有効な提案をし続けることが、介護支援専門員の仕事なのです。

 

医療ソーシャルワーカー

不安の受け皿になる

医療機関での相談は、一般的に入院患者が対象になりますが、その役割を担うのがソーシャルワーカーです。

一般的には医療ソーシャルワーカー(MSW)という名称で、数名程度が配置されていることが多いようです。

あらかじめ十分な作備を整えてから入所する介通保険施設の入所とは異なり、医療機関への入院は緊急の場合がほとんどです。

そのため、準備不足から治療費などの経済的問題、身寄りがなく身元引受人が確保できないなどの家族関係上での問題などが発生することがあります。

その解決を求めての相談が主たる業務のひとつになります。

また、急性期医療機関から回復期や慢性期医療機関への転院についても、転院先の医療機関と協力して患者を支援していきます。

MSWは、患者の状況について、相談を通じて全容を把握し、その患者に適した制度や解決方法を提示して、問題の解決につなげていきます。

退院の準備に向けた業務

長期の治療や後遺症の残る疾患で入院した場合は、退院後の生活に向けた支援が必要になります。

MSWは、まず必要とされる支援について、患者やその家族との相談を繰り返し、退院後の患者の不安を少しでも軽減できるように対応します。

近年では、医学的には入院する必要がないのにも関わらず、経済的、家庭的事情による長期入院するという問題もあり、入院時より入院期問を定められているため、退院が決まる前から相談を開始し、退院後に支拨を行なう関係機関や施設と連携して退院支援を行なうようになっています。

退院後のフォロー

MSWの仕事は「退院したら終わり」ではありません。

退院後の外来患者に対して、医療機関の相談窓口としての援助を行ないます。

受診するうえでの不安や困りごとなどについて確認し、退院後の生活の様子を確認することで次の援助につなげていきます。

 

精神科ソーシャルワーカー

精神科医療の相談

現在の精神科医療は、精神疾患患者だけでなく、認知症患者も対象になります。

近年、認知症患者が増加傾向にあるため、そのニーズに応えて治療にあたることになります。

その精神科医療の相談業務は、精神保健福祉士が担っています。

外来受診する患者には、地域との仲介役となり、地域での支援のつなぎ役として相談に応じながら、支援制度の紹介や仲介を行ないます。

また、入院患者に対しては、入院中での不安の解消や地域復帰の可能性についての相談に応じ、入院中の不安の解消を図っていきます。

患者への支援

現在の患者支援はチーム医療が中心です。

精神科ソーシャルワーカー(PSW)は関係する医療スタッフと協力して患者の支援を行ない、福祉専門職として相談対応と患者の代弁者としての役割を担います。

また、患者の退院にあたっては、社会復帰および地域への適応支援が大きな役割となっています。

特に地域社会が精神障害者や認知症患者を受け入れていく過程では、疾患に対する意識の壁が生じます。

そのため、PSWは医療との連携だけではなく、自治体や地域の住民組織への理解と協力を求める業務も必要とされるのです。

住民の不安に対する相談支援を行なうことは、精神障害者や認知症患者の社会復帰や家庭復帰に対する援助の一環でもあります。

近年は権利擁護の理解が進み、精神障害者や認知症患者の権利も尊重すべきものとの意識が広まってきているものの、PSWが積極的に権利擁護の視点に立ち、支援することが相談業務には欠かせないのです。

患者家族への支援

精神疾患や認知症等の疾患は、目に見えにくい病気なので、周囲からの理解が得られづらいという問題があります。

また、性格や思考にも影響を与えるために、家族にとっても患者の内面的な変化に戸惑いや不安が生じ、葛藤が起きることがあります。

PSWは、患者の社会復帰や家庭復帰を支援するために行なう家族援助のひとつとして、相談業務を行う必要があるでしょう。

このような複雑な家族の悩みを理解した上で、各種問題の解消を目指さなければいけません。

 

まとめ

人が人を支援する

施設の利用者や医療機関の患者と向き合うとき、常に「相手も人であり、自分も人である」ということを意識しなければいけません。

利用者を1人の人間としてではなく、入所者や患者という1つの集合体のように論じられることがあります。

しかし、忘れてはいけないのは、利用者たちはそれぞれ個性をもった人間であるということです。

相談を受ける側も人間、相談する側も人間なのです。

考え方や生き方も、病気や障害も、家族構成も性格も利用者ごとに違います。

相談援助を行なう上では、必ず個々の利用者の姿を理解して、利用者を人として敬う姿勢がなにより大切なのです。

丁寧に聞く姿勢が必須

相談援助職は利用者からの相談によってさまざまな情報を入手します。

その情報を援助するスタッフと共有することで、有効な支援が展開できます。

そのため、相談援助職は自分の持つ全能力を駆使して、利用者にとって有効かつ適切な情報を引き出す努力をします。

利用者と職員という関係は、解釈次第で、その関係に微妙な差を生みだす場合があります。

これにより、利用者が言いたいことも言えない状況になることがあり、不必要な上下関係を作ってしまうこともあるのです。

相談援助職は、利用者にとっての理解者かつ代弁者として、安心して相談できる姿勢を常にもつことが大切です。

プロフェッショナルとして

施設や医療機関での相談業務は、これら職種が中心となって行ないますが、利用者にとって相談しやすい人が、相談援助職とは限らないという現実があることを忘れてはいけません。

誰に相談するかは、利用者やその家族に決定権があります。

信頼される相談援助職となるためには、常にプロフェッショナルとしての意識をもち、スキルの向上と関係機関との信頼関係の構築に努めるのは当然ですが、利用者の生活を支援するという基本的な理念を維持することが必須になるでしょう。

いつでも相手の立場に立てる献身性や柔軟性が求められる仕事なのです。

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