介護職の待遇

教育制度の充実と成長できる環境が介護職として働く最低条件

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介護サービス事業所

しっかり働ける職場を見つけることはなにより重要

安心して介護の仕事をするためには、また介護のプロになるためには、働く事業者をしっかりと選ぶことが、なにより必要です。

介護業界は「素人事業者の多い怖い業界だ」と言う人もいますが、決してそんなことはありません。

一部の事業者を除けば、介護に対する意欲やその仕事に対する誇りを持ち、向上心の高い人の多い業界でもあります。

最近では、他の業界と同じように、介護の現場で経験を積んだ人が「質の高い介護をしたい」「難しいヶースに寄り添うような介護をしたい」と参入を始めています。

「最初の数年は赤字でもいい」「地に足をつけて、長期的にノウハウを蓄積していこう」という経営者もたくさんいます。

社会福祉法人でも、職員の待遇改善、サービス向上に積極的に取り組むところが増えています。

そこで、働くべき介護サービス事業所選びに必要なポィントを3つ挙げます。

①安心して働ける環境

高齢者介護は、医療や看護と同様に、一瞬のミスが重大事故に直結するリスクの高い仕事です。

また、デイサービスや介護保険施設で、インフルエンザや0157などの感染症や食中毒が発生すれば、高齢者は抵抗力が弱いために命に関わる重篤な状態になります。

地震や火災が発生すると、逃げ遅れて多数の死傷者がでる大惨事となります。

これは働く介護労働者のリスクでもあります。

無理な姿勢で介助して腰痛など体を痛めることもありますし、高齢者を庇って転倒し骨折することもあります。

感染症に気が付かないまま介護をして、自ら罹患するリスクもあります。

「夜勤時に、大きな地震が発生して何人かの入所者が怪我をした」「デイサービスの送迎時に、交通事故に巻き込まれてしまった」「ショートステイ利用者の1人が、インフルエンザにかかっていることがわかった」「訪問介護で認知症高齢者が急に怒り出し、トラブルになった」など、安心して働くには、事業種別に合わせて様々なリスクを想定し、マニュアルの整備や教育訓練など、その対策を適切に講じている事業所であることが必要です。

②努力が報われる環境

介護は専門職種ですから、年功序列で段階的に給与が上がっていくような仕事ではありません。

しかし、上位資格をとっても給与が上がらない、どれだけ努力しても、自分の望む役職や業務には就けないということでは、やる気がなくなってしまいます。

それは法人の体質によって、大きく違っています。

大手事業者でも、資格手当も賞与も低く、サービス管理者になっても責任が重くなるだけで、給与は一般の介護スタッフと変わらない、400万円程度というところもあります。

また、地方議員が理事長で妻が施設長、息子が事務長など、役職者がすべて一族で占められていたり、3年交代で行政からの天下り公務員が施設長や事務長をしているという社会福祉法人もあります。

このような法人では、一部の人たちだけが高い給与をとっているため、努力をしても給与や待遇は改善されません。

③成長できる環境

介護の職場を選ぶために、最も重要になるのは成長できる環境です。

介護サービスの実務・ノウハウの高い事業所で働くことができれば、「どのような事故があるのか」「どうすれば安全に介助できるのか」がわかってきます。ケアマネジメントにおけるケアカンフアレンスやモニタリングの重要性、チームケアの構築、他事業者との連携の方法も見えてきます。

1年目は新人職員として研修を受けていた人も、3年目になるとOJTの新人教育係となり、5年後には新人教育のプログラムを策定、監督する立場になります。

無資格で特養ホームで働き始めたけれど、初年度に事業所の支援で介護職員初任者研修、実務者研修を受け、3年働いて介護福祉士を受験し、通信大学に通いながら社会福祉士になり、5年後にケアマネジヤーになるという人もいます。

資格取得やキヤリアアップを積極的にバックアップしてくれる企業、法人で働くのか、「介護労働者の頭数がいればいい」という、介護の専門性を理解しない事業所で働くのかにょって、3年後、5年後には、その未来は大きく変わってきます。

 

介護事業者の総合力が判断できる教育体制

教育体制

素人経営者かプロの経営者か、その違いが最も現れるのが教育体制です。

教育訓練には、時間もお金も手間もかかります。人材育成に積極的に投資しているということは、短期的な利益ではなく、サービスの質の向上を基礎として、長期的視点から経営を考えている事業者だということです。

また、その中身を見れば、ケアマネジメント、リスクマネジメントといつた介護の専門的な知識、技術、ノウハウだけでなく、1人ひとりのスタッフの人生や未来を大切にする企業,法人なのかもわかります。

この介護人材の育成、教育プログラムは、その役割、目的から「新人教育」と「キヤリアアップ研修」に分かれます。そのポィントを簡単に整理します。

新人教育プログラム

1つは、新人教育です。

「とりあえず現場に出てもらって、先輩を見ながら少しずつ慣れていけばよい」という事業所がありますが、それは正しい方法ではありません。

述べたように介護は、小さな介助ミス、一瞵の判断の遅れが利用者の生命に関わる重大事故に発展する可能性があるからです。

新人教育の目的は「事故やトラブルを発生・拡大させない」という1点に絞られます。

「介護事故はどのような場面で発生するのか」「事故を防ぐための介護の方法」「事故の発生、発見時の初期対応」などについて、最初の段階でその基礎を十分に理解する必要があります。

また、防災や食中毐、感染症の予防、発生時の対応も業務マニュアルや防災訓練を通じて徹底します。

合わせて教育担当を置くなど、わからないこと、疑問に思うこと、気が付いたことは、すぐに報告、連絡、相談できる体制を構築しなければなりません。

新人教育の充実度は、早期の離職率と相関関係にあります。

新人職員は、他のスタッフや利用する高齢者との人間関係ができていないため、介誰の経験者、未経験者を問わず、とかく不安やストレスが大きいものです。

サービス現場に入っても、最初は利用者の名前と顔、要介誰状態が一致しません。

利用者から何か依頼されてもそれを行ってよいのか判断できませんし、食事の配膳さえ1人ではできません。

「わからないことがあれば近くのスタッフに聞いて下さい」と言われても、忙しく働いている先輩スタッフの手を止めることは気を使いますし、誰もが気軽に、優しく対応してくれるわけでもありません。

「忙しいから…」「一応経験者だから…」と介護事故のリスクなどに対する新人教育が十分に行われないまま、すぐに単独業務や夜勤を命じられると、身体的な負担に精神的な負担が重なります。

事故やトラブルが増えるだけでなく、真面目でやる気のある職員ほど、ストレスで早期に離職してしまい、更に人材不足が進むという悪循環に陥ることになります。

キヤリアアップ研修プログラム

研修プログラム

もう1つは、個々の職員のキヤリアアップを支援する研修プログラムです。

スタッフ教育というのは、経営者からみれば「事業者の求める人材を育成すること」であり、個々の労働者からみれば「介護のプロとして自らの市場価値を高めること」です。

それは、個々人の資格取得目標や将来設計、事業者の労務管理や人事評価まで含まれます。

一般的にキャリアアップ研修は「目標設定」「目標に対する教育プログラムの作成」「診断」「評価」に分かれます。

介護付有料老人ホームで働く、3年目の男性の介護ス夕ッフを例に挙げてみましょう。

彼は、将来ケアマネジャーになりたいと希望し、現在、福祉系大学の社会福祉士養成の通信教育を受けています。

今年の個人目標は「社会福祉士の資格取得」であり、事業者は「新人職員の教育担当」を要望しています。

事業者と彼との間で目標が共有できれば、事業者は新人教育に必要な知識、ノウハウを伝え、その努力を促すとともに、個人目標である資格取得に向けて、大学のスクーリング、実習にスムーズに通えるように勤務上の配慮を行います。

そして、定期的にそれぞれの目標がどの程度達成できているか、何か課題はでてきていないか、困っていることはないかなど、アドバイスを重ね、年度末にその達成度について診断・評価を行い、次年度の自標設定につなげていきます。

この新人教育やキャリアアップ研修の内容は、訪問サービス系、通所サービス系、介護保険施設、高齢者住宅など、事業種別によって違いますし、法人や事業所の規模によっても変わってきます。

「大きな法人の方が、教育がシステム化されている」「個人事業所ではキャリアアップのプログラム化に限界がある」というわけではありません。

小さな法人、単独事業所でも、経営者が直接、個別のスタッフに「仕事の上で困っていることはないか」「どんなことがしたいのか」「将来、どのような業務につきたいのか」など個別に聞き取ることができます。

その要望をもとに「木曜日は◯◯さんが早く帰れるように……」「◯◯さんはレクレーシヨンが得意だから、研修に行って深く勉強してもらおう」などと、よりきめ細かな教育プログラムや心配事への対応ができます。

働く介護スタッフにとっても、定期的に管理者や経営者と面談をして、目標を設定し相談や助言を受けることができれば、「自分の将来が見えない」「毎日、同じことの繰り返しで進歩がない」「このまま働いていても・・・」といった暗闇に落ちることはないはずです。

このスタッフ教育や人材育成は、必ず面接で求職者から質問すべき事項です。

スタッフ教育や人材育成に積極的に取り組んでいる事業者は増えており、必ずその中身や取り組みについて丁寧に説明してくれます。

最近では、キャリアアップだけでなく、「妊娠したので体に負担のかかる業務から外れたい」「保育園に行っている子供が熱を出しやすい」といった個別の事情に積極的に対応する事業者もあります。

また、介護はチームケアですから、優秀な事業者は、経験者であっても「前の施設ではこうやっていた」「私のやり方がある」といった自己流の介護を嫌います。

逆に、安易に「即戦力がほしい」「経験者がほしい」「新人のレベルが低い」などと言っている経営者、事業者は、人を育てる能力もその気もないということです。

 

人材教育に熱心でない場合は転職を視野に入れる

このような教育制度が整備されていない事業者は、早晩行き詰まることになるでしょう。

もし、あなたが勤務している介護施設に教育制度がなく、人材を大事にしない傾向があるなら、それは危険は兆候です。

今後、介護業界には「大倒産時代」が到来するのではないかとも言われているからです。

そうなる前に、教育制度が整った優良事業者のところに転職してしまう方がいいかもしれません。

介護業界の人手不足は慢性化していますので、経験者であれば、どこでも採用したがる傾向にあります。

今よりもいい条件で、しかもスキルアップできる事業者はいくらでもあるはずです。

介護専門の転職サイトで、求人を探せば、きっと自分に合った職場が見つかるでしょう。

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