介護職としてやりがいを感じるとき
人はなぜ働くのでしょうか?
お金のためだけに働くのでしょうか?
おそらく、そうではないはずです。
むしろ、お金以外の要素によって、働く意欲が湧くのではないでしょうか。
介護の仕事にやりないはない?
介護職は「きつい」「汚い」「危険」、または「お給料が安い」「休みが少ない」「夜勤がきつい」などというネガティブな印象を持たれがちですが、実は「やりがい」もたくさんあります。
勤務はハードであっても、決して、やりがいがないということではありません。
実際に介護職に就いている人も多くは、やりがいを感じているからこそ、介護の仕事を続けられているのだと思います。
公益財団法人介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」で介護職に就いた理由を聞いたところ、52.2%が「働きがいのある仕事だと思ったから」と答えています。
また、約35%の人が「資格・技能が活かせるから」と回答しています。さらに「仕事や社会の役に立ちたいから」という答えも約30%ありました。
自分のスキル・能力を活かして、誰かの役に立ちたいと考える人であれば、介護職はやりがいを感じられる職業なのです。
介護の仕事のやりがいを感じるとき
高齢者介護は裾野の広い仕事で、その拡張性は無限と言っても過言ではないはずです。
業種や雇用形態など、いろいろな選択肢があり、自分の希望に合わせた働き方ができるという利点があります。
まずは、4つの視点から、介護の仕事の全体像とそのやりがい・可能性を見ていきましょう。
業種・業態としてのやりがい
一概に介護の仕事といっても、いろいろな業態があることはご存知でしょう。
訪問介護、特養ホームや老健施設、ディサービスやグループホーム、小規模多機能事業所など、どの業種で働くかによって、業務内容や勤務体系は大きく変わります。
訪問介護の場合、1軒1軒、自宅を訪問し、「30分」「1時間」など決められた時間の中で、入浴介助や食事の準備、または食事介助などを行います。
このように連続した仕事ではありませんので、子供の幼稚園の送り迎えに合わせて、勤務時間を調整することも可能です。
これに対して、特養ホームや介護付有料老人ホームでは、日勤、夜勤などの交代制で、24時間365日継続して、介護サービスを提供します。
また、同じ「高齢者の住まい」であっても、特養ホームは重度要介護高齢者が中心ですから、食事介助、排泄介助などの直接介助の比率が高くなりますが、認知症高齢者のグループホームでは、見守りや声掛け、共同作業やレクレーションの補助といった間接的な介助が中心になります。
ディサービスでは、レクレーションやイベントに力を入れているところが増えています。
このように、同じ介護スタッフでも、施設種別、また事業所によって業務内容や働き方、さらに勤務体系はそれぞれに違ってきます。
それは自分の生活環境の変化に合わせて、働き方を選べる「フレキシビリティ」があるということです。
現在、政府は「働き方改革」を推進していますが、介護業界はひと足早く、それを実現していると言えます。
この点に働きがいややりがいを見出す人は多いと思います。
キャリアアップというやりがい
介護と言えば、排泄介助や入浴介助といった要介護高齢者への直接介助をイメージする人が多いのですが、それだけではありません。
高齢者介護という仕事は、要介護高齢者の生活支援全般です。介護の経験を積んだあと、生活相談員やケアマネジャーなど他の職種にキャリアアップするも人沢山います。
生活相談員は、介護サービス事業者と利用者、家族、更には外部のケアマネジャーや医療機関、他のサービス事業者との架け橋となる仕事です。
介護現場での十分な経験や知識がないと、介護スタッフだけでなく、家族や他の事業者からの信頼を得ることはできません。
地域や家族から信頼される事業所には、必ず介護現場での経験豊富な相談員がいます。
ケアマネジャーは、要介誰高齢者の生活を支援するコーディネーターというべき仕事です。介誰保険制度の中核ともいえる仕事であり、その重要性はますます高まっています。
このように、介護職として経験を積めば、介護業界内でキャリアアップすることは比較的容易なのです。
経験を積み、自分自身がキャリアアップをすれば、一生食べていける職業が介護職です。この点に魅力を感じ、やりがいにしている人も多いと思います。
世代の広がりに関するやりがい
奪門職の最大の強みは、年齢に関係なく働き続けられるということです。
高齢者介護は、身体的な負担が大きく、肉体的に優位性がある若い人向けの仕事だと思われがちですが、最近はノーリフト巡励など安全で力に頼らない介護技術が主流になっていますし、介護リフトや介護ロボットなどの開発も日進月歩で進んでいます。
これらのテクノロジーが定着するには、もう少し時間がかかりそうですが、「介護の仕事は若いときにしかできない」というのは問違いで、60代、70代のホームヘルパーも、生きがいをもって活躍しています。
今後は、介護保険施設を退職したあと、生きがいと実益を兼ねて、生活や体力に無理のない範囲でホームへルハーやケアマネシャーをするという人が増えてくるてしょう。
それだけ需要がある仕事なのです。
ビジネスの広がりに関するやりがい
「介護ビジネスは儲かる」「これからは介護の時代だ」と勇んで参入したものの経営に苦労しているところは少なくありません。
それは、「高齢者介護とは何か」「ケアマネジメントとは何か」という介護の基礎がわかっていないからです。介護の現場、介護サービスの特性がわからなければ、介護の経営はできません。
しかし、高齢者介護は、確実に需要が拡大し成長する産業です。
これからは、サービス管理者、相談員、ケアマネジャーとして現場で、介護の基礎をしっかり勉強したスタッフが、「こういう介護をしたかった」「私の求める介護の姿はこれだ」と高い理念を持って、経営者として事業に参入してくるでしょう。本来、それがあるべき姿であり、その人達が高齢者介護ビジネスの未来を変えていくことになるのです。
市場の拡大が確実な介護業界に、高い志を持った経営者が参入してくれば、成功の確率は格段に高まるはずです。
誰かの役に立ちながら、ビジネスとしての成功を勝ち取れるのが、介護業界の魅力であり、やりがいなのです。
やりがいを搾取しない
このように一生懸命に頑張る職員のやりがいを搾取しようとする介護施設経営者がいます。
実際、他業種と比較して劣る労働条件を介護の仕事から得られる充実感で相殺しようとする経営者がいるのは事実です。
文句も言わず頑張ってくれる労働者を安い賃金で確保できれば、これ以上ないメリットになるからです。
介護現場において、やりがいの搾取が成立する条件として、「仕事が趣味であり、なにより介護が好きである」「仕事にゲーム性を感じ、現場での裁量が大きい」「明確に人の役に立つことが実感でき、奉仕できている満足感がある」「閉鎖的で独自の文化が築けている」といった点が指摘されています。
介護業界は、介護の仕事を通じ、人の世話をすることが好きという人が集まってきます。
そして、上司の指示を待つことなく、現場で判断できるという裁量も付与されています。
そして、介護は明確に利用者の役に立ち、その上で閉鎖的な環境が自分たちの常識を正当化させるのです。
まさに搾取が成立する環境にあると言えるでしょう。
経営者、管理職、介護職員というそれぞれの立場を問わず、まずはやりがいの搾取が行われない環境をつくれるよう、日頃からお互いをチェックしあう体制をつくることが求められるのです。
介護のやりがいに関するQ&A

