介護の仕事で思い浮かぶのは「ヘルパー」と「介護士」
介護の仕事として、真っ先に思い浮かぶのはヘルパーではないでしようか。
ヘルパーは、自宅で暮らしている高齢者のお世話をする仕事をしている人の総称です。
主な仕事は「オムツ交換」「食事介助」「通院介助」などの身体介護、そして「食事づくり」「買い物」「掃除」などの生活援助に分かれます。
特に最近は独り暮らしの高齢者や老夫婦世帯が増えているので、在宅で介護を必要とする高齢者(要介護者)にとって、ヘルパーは重要な役割を果たしています。
―方、介護施設では介護士(介護福祉士)がオムツ交換や食事介助などの身体介護を行ないますが、在宅の場合と異なり、組織的に業務をすることになります。
そのため、介護施設に勤務する介護士には、決められた業務をルーチン的に行なう傾向があることは否めません。
最近では、介護施設でも、働く人の個別性を重視する方向にはなっていますが、在宅に比べると業務内容が組織的といえます。
自由度という点では、在宅に劣るため、多少の息苦しさはあるかもしれませんが、業務が分担でき、かつ一人に責任がかからないので、施設勤務の方がよいという人も多くいます。
尚、在宅と施設で「ヘルパー」と「介護士」を区別せず、単に介護士と統一的に呼ぶ場合もあります。
介護職の基礎は「介護職員初任者研修」
介護の仕事に就く場合、資格保有が望ましいと言えます。
介護に関連する資格は複数ありますが、まず基礎となるのが「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」です。
介護職員初任者研修は在宅であれ、介護施設での勤務であれ、介護の仕事に従事するのであれば、まず取得すべき資格です。
一般的には、2か月ぐらいの期間で、費用は10万円前後が相場となっています。
インターネットで「介護職員初任者研修」と検索すると、多くの会社で介護職員初任者研修講習会を開催していますし、自治体などが助成金を出している場合もありますので、最もよい条件を探してみるといいでしょう。
介護の資格は理解されづらい
しかし、介護職員初任者研修の社会的評価は曖昧といえるでしょう。
しかも、利用者や利用者の家族は「介護士」の資格制度をよく理解していないので、資格の有無に関心を持っていない人も多いようです。
在宅の介護現場では、アルバイトのようなスタイルで、介護職員初任者研修のみで働き続ける人が多いので、一層、介護士の立場を微妙にしています。
介護士としての専門性がもっと評価される仕組みになることが理想なのです。
国家資格「介護福祉士」
ヘルパーや介護士の資格に「介護福祉士」があります。
これは国家資格で、介護職員初任者研修などの資格よりも上級になります。
介護関係の専門学校や短大を卒業する、もしくは、介護職員初任者研修を取得して介護の仕事に3年以上勤務し、規定の講習を受ければ、介護福祉士国家試験の受験資格が得られます。
以前は、3年以上の実務経験があれば受験資格を得られたのですが、平成24年度から、介護の仕事に就く人は、実務経験後に講習を受けなければ受験資格を得られなくなりました。
また、かっては介護関係の専門学校や短大を卒業すれば同時に資格が得られたのですが、平成24年度の入学生からは、国家試験を受験して合格しないと資格が得られなくなりました。
っまり、学校の卒業資格、または実務経験を有していても、最終的には国家試験に合格しないと、介護福祉士にはなれないのです。
なお、法律上は介護現場で介護職員初任者研修を取得していなくとも、働くことは可能です。
施設などが無資格者でも雇用してくれれば問題ありません。
そして、3年以上の実務経験があれば、一定の講習後には介護福祉士の受験資格を得ることができるのです。
資格の意味
介護の資格の意味はやや難解です。
あくまでもヘルパーや介護土の仕事は「名称独占」としての位置づけが強く、「業務独占」の資格ではありません。
つまり、資格を有していなくとも介護業務に就けるというのが名称独占的な資格なのです。
しかし、同じく介護の仕事に携わっている「看護師」「理学療法土」「作業療法士」という人たちは、これらの資格を有していなければ該当する業務をすることはできません。
これを「業務独占」的な資格といいます。
ただし、2012年4月から、一定の研修を受けた介護士やヘルパーは、看護師が行なっていた医療行為の一部をできるようになりました。
「医療行為」とは、医師の指示にもとづいて、医療機器などを用いて医学的なケアをすることです。
例えば「注射」「採血」「じょく瘡(床ずれ)の処理」などです。
本来、介護土は、このような医療に関するケアはできませんでしたが、一部だけ条件付けで可能となったのです。
高齢者が自分で「たん」を吐き出せず、苦しんでいる場面をよく見かけますが、その場合、ロの中の「たん」を医療機器で吸引します。
これらのことについて、介護士やヘルパーでも、一定の研修を受ければできるようになったのです。
ただし、介護士らは医療職ではないので、基本的に医療行為はできません。
介護士は高齢者にとって欠かせない存在
ヘルパーや介護土は、介護現場での主役といってもいいかもしれません。
どの職種よりも高齢者と接する機会が多く、高齢者に身近な存在です。
いわば生活を支える重要な役割を果たしているのです。
超高齢化社会に突入している現状においては、今後もますます必要とされる職種です。