介護士を辞めたい

現代の日本で最も必要とされている職業は「介護職」と言ってもいいでしょう。

高齢化が進む日本において、介護職(介護福祉士など)は、ますます貴重な職業になります。

介護職の給料と年収

給与

社会的意義のある介護職ですが、残念ながら待遇が仕事内容に見合ってるとは言いがたいでしょう。

介護士は自分を犠牲にして、多くの人に奉仕しているのも関わらず、お給料や休日などの待遇面で決して恵まれてるとは言えない状況にあります。

厚生労働省公表の統計データでは、介護職の給料は、全国平均で21万9700円、訪問介護員は若干高く、22万700円になっています。

全産業平均が32万9600円なので、およそ11万円も低くなっており、介護職の待遇の悪さが浮き彫りになっています。

介護職は典型的な労働集約型産業なので、主たるコストは人件費です。

施設介護では介護報酬の約70%、訪問介護ではおよそ90%が人件費に充当されているので、現状でもかなりギリギリの経営状態かもしれません。

つまり、これ以上人件費を上げられないビジネスの構造なのです。

もし、介護職の給料を全産業並に引き上げるとすると、1兆円以上の予算が必要になると言われています。

その財源は「税金」です。

厳しい国家財政を考えた場合、これは実現不可能なプランと言わざるを得ないでしょう。

介護職の給料(年収)を上げたいなら、この5つのポイントに注目!

介護コンサル
産業構造上、また倫理上でも利益を出しにくいのが介護業界なのです。

 

介護士の辞めたい(離職)理由

退職届

介護職の離職率

離職率が高く、離職者が多い点も介護職の特徴のひとつです。

そして、潜在的な離職希望者(辞めたい予備軍)が多いのも介護職の現実です。

介護福祉士やヘルパーを含む、介護職として就職してから3年で約半数の人が離職または転職をしています。

一般企業の場合、3年以内に辞める人が30%なので、介護職を辞める人の多さが際立っています。

辞めたい新人が急増

特筆すべきは、新人の退職率の高さ。

ひどい場合には1日で退職してしまうケースがあるくらいです。

夢を持って介護業界に飛び込んできたにも関わらず、現実と理想が違いすぎるのです。

新しい環境に慣れていないのに、どんどん仕事を任され、肉体的にも精神的にも負荷が大きくなる。

先輩や上司、入居者やその家族など、複雑な人間関係に疲弊する。

こうして新人は燃え尽きてしまうのです。

介護職は条件が悪い?

社会的な需要も高く、多くの人から感謝されるとても大切な仕事であるにも関わらず、介護士を辞めて、福祉業界を離れてしまうのは非常にもったいない。

介護士の離職は社会的損失です。

そして、ただでさえ慢性的な人員不足が続いている介護の現場が、より一層回らなくなってしまえば、入居者やその家族にとっても不安でしょう。

社会制度が未整備であり、人手も少なく労働環境も厳しい中で、人材教育が行き届いておらず、それによって多くの人が辞めてしまっている現実は改善の必要があります。

実際、現役の介護職員に介護の仕事の悩み・不安・不満を調査したところ、以下のような結果になりました。

大別すると、多くの介護士は、「労働条件」「賃金」「健康(心身)」に悩み・不安・不満を持っているとわかります。

悩み・不安・不満 (複数回答) 割合
人手が足りない 45.0%
仕事内容のわりに 賃金・収入が低い 43.6%
有給休暇が取りにくい 34.5%
身体的負担が大きい (腰痛や体力に不安がある) 31.3%
精神的にきつい 28.5%
社会的評価が低い 28.2%
休憩が取りにくい 26.8%
夜間や深夜時間帯に何か 起きるのではないかと不安 21.0%
健康面(感染症、怪我)の不安 14.3%
労働時間が不規則である 13.4%
福祉機器の不足、機器操作の 不慣れ、施設の構造に不安 11.8%
労働時間が長い 10.8%
不払い残業がある・多い 9.2%
医的な行為に不安 8.9%
雇用が不安定である 7.6%
仕事中の怪我などへの補償がない 5.9%
正規職員になれない 5.1%
その他 3.5%
特に悩み、不安・不満等は感じていない 9.2%

さらに、介護の仕事を辞めた理由も調査しています。

実際に辞めた理由は、悩み・不安・不満よりも、もっと具体的で、直接的な問題であったと見て取れます。

介護の仕事をやめた理由(複数回答) 割合
職場の人間関係に問題があった 24.7%
法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があった 23.3%
他によい仕事・職場があった 18.6%
収入が少なかった 17.6%
自分の将来の見込みが立たなかった 15.1%
新しい資格を取ったから 10.1%
結婚・妊娠出産・育児のため 9.1%

 

多くの介護士が辞めたいと思う具体的な理由は何なのでしょうか。

主な意見は、以下の通りです。

■慢性的な人手不足による多忙感により辞めたい

■夜勤が多く、体調不良からうつ状態になってしまって辞めたい

■腰痛がひどく、体力的に辛くなり、続けられずに辞めたい

■研修がなく、特に新人が育たないために既存職員まで辞めたい

■放任主義でわからない業務を押し付けられるため、人間関係が嫌になり辞めたい

■給与・収入や休日などの条件が年々悪くなり、キャリアビジョンを描けず辞めたい

■事前の説明と違い、思っていたイメージとの開きがあったために辞めたい

■尊敬できる上司がいないし、人間関係が悪く、自分の将来が不安になって辞めたい

■明確なキャリアビジョンが描けず、将来性を感じられずに辞めたい

■仕事が多忙で、周囲とのコミュニケーションが取れず人間関係に辛くなって辞めたい

■利用者のわがままなど、入居者との人間関係に耐えきれずに辞めたい

■小さな事故を体験し、怖くなって、プレッシャーに負けて辞めたい

■夜勤で利用者30人を担当しなければならず、多忙感で辞めたい

■周りからの新人へのフォローがないため、新卒1年未満で辞めたい

■男性職員への負荷が大きく、心身両面での重圧に耐えられず辞めたい

■パートや派遣社員への差別的な待遇(収入面を含む)に不満を持ち、辞めたい

■いろいろなストレスが限界に達し、精神的に疲弊し、鬱になって辞めたい

介護職の人間関係悪化の原因はあなたにあるかも!?

介護コンサル
人間関係、待遇(給与・収入)、仕事内容などが辞めてしまう理由になっています。

 

介護職の辞めるタイミングと転職

介護士の大量離職が発生している介護施設であれば、なんらかの対応を考えた方がいいかもしれません。

「自分の働いている介護施設はブラック企業なんじゃないか・・・」との不安があれば、転職を含めた、いくつかの選択肢を検討すべきです。

サービス残業常態化、各種手当が払われない

30分未満の残業時間は切り捨てるのが暗黙のルール。

一旦、タイムカードを押させて、その後に残業させる。

持ち帰りの仕事を指示する。

このような業務指示はすべて違法です。

また、定められている夜勤手当が支払われない場合や有給休暇を取得させてくれない場合も労働者の権利を侵害しています。

このような収入面での不満は早めに解消しましょう。

勤務時間外(休日)に連絡、対応を要求

勤務時間外に職場から頻繁に連絡がきて、無理矢理に対応を求められる職場は危険な兆候です。

人手不足やコミュニケーション不足とはいえ、勤務時間外の労働者への業務連絡は、労働基準法で禁じられています。

休日も仕事のことを考えなければいけない環境は気が休まらず、ストレスが蓄積されていくでしょう。

介護現場の事故責任を個人に

ヒヤリハットを報告した際、再発の防止ではなく、犯人探しが始まってしまう施設があります。

また、それが個人攻撃に発展していってしまうと最悪です。

そのような介護施設では、自分が責められるのではないかと疑心暗鬼になり、ヒヤリハットを報告できず、それが次の重大事故の種になってしまう場合があります。

特に新人は責任を押し付けられやすいので危険です。

事故報告の目的はあくまで情報の共有であり、未来の重大事故の防止です。

この点を正しく理解している上司がいる職場で働ければ安心できます。

パワハラやセクハラ、イジメが横行

近年、介護職員から入居者への暴力や暴言が問題になっています。

また、逆に入居者から介護職員へのセクハラや暴力・暴言も問題視されています。

さらには介護職員間のセクハラやパワハラも横行しています。

これらの問題行為が常態化しているようであれば、楽しく働ける職場とは言えないでしょう。

無駄なストレスを抱えるくらいなら、もっと生き生きと働ける環境を探すべきです。

経営者の運営方針が納得できない

経営者が、利益最優先の方針で施設経営をしているケースがあります。

介護優先ではなく、まずは利益ありきなのです。

そのしわ寄せは当然現場に来ます。

介護もビジネスなのかもしれませんが、少なくとも現場の声に耳を傾け、同じ目線で施設運営をしてくれる経営者の元であれば、やり甲斐を感じるはずです。

医師や看護師などとの人間関係が悪く、連携悪化

女性の人間関係は複雑です。

看護師が介護職を見下した態度を取ったり、汚い仕事や雑用は介護職に押し付けるなど、自然に上下関係が構築されてしまっているケースがあるようです。

このように職場にヒエラルキーができてしまうのは危険です。

業務に追われながら、不毛な人間関係に我慢していると、心身ともに疲弊し、燃え尽きてしまう場合があります。

人手不足のために無資格者に医療行為

これは言語道断の違法行為です。

2012年以降、一部の医療行為は、必要な講習を受講した介護職員に限り対応可能となりましたが、人手不足・業務多忙などを理由に、違法行為を奨励している介護施設もあるようです。

そのために介護士が書類送検された事例もありますし、利用者の安全や利益に反する行為なので、モラルが欠如している職場で働くのはおすすめできません。

介護コンサル
モラルが低く、遵法精神がないなど、環境が整っていない施設で働く必要はありません。

 

介護職の求人

介護職は常に人手不足なので、転職が容易な職業です。

実際、全ての職業の有効求人倍率が1倍を下回っている状況でも、介護職は2倍前後で推移しています。

つまり、介護業界は、転職に最適な状態にあるのです。

とは言え、自分に合った介護士の求人はどこからどう探していけばよいのでしょうか。

求人を探す上で大切なのは「探すルート」です。

どこで探すかによって求人内容も変わってくるので、まずはその調べ方が重要です。

求人の特徴

介護士求人は、ハローワークや折り込みチラシなどが一般的ですが、最近は介護士専門の求人サイトがあるなど、探し方が多様化しています。

求人を出す側(介護施設等)はその媒体の特性を十分に理解した上で求人を出しているので、まずはそれぞれの特性を知っておく必要があります。

地域密着の求人を探すなら

ハローワーク(公共職業安定所)

無料掲載できるので、求人数は多いものの、それだけに「ブラック企業」の求人が混在しているので、注意が必要です。

インターネットでの検索も可能なので、自宅からでも簡単に求人を探せます。

国が運営しているので、失業給付、就職促進給付など、情報の信頼性は高いと思います。

求人情報雑誌(フリーペーパー)、折込チラシ

近所の商店などに設置してあり、無料で貰えます。

また、自宅にポスティングされるケースもあると思います。

元々エリアを限定しているため、数キロ圏内の求人情報だけが載せられているので、求人数は限定されますが、ピンポイントで求人が探せるメリットがあります。

沢山の選択肢が欲しいなら

求人サイト

専門の転職支援会社が、インターネットで圧倒的な求人数を提供しています。

求人情報だけではなく、業界動向やの転職成功のポイントなどを指南してくれています。

完全無料で使えるので、リスクはなく、とても便利です。

スマイルSUPPORT介護

介護専門求人サイト〜かいご畑〜

スタッフサービス・メディカル

介護福祉の転職なら『カイゴジョブ』

介護士転職なら介護キャリア+

マイナビ看護師

人材紹介会社および人材派遣会社

人材紹介会社や人材派遣会社はインターネット上で公開されていない非公開求人を多く持っています。

そのために、なかなか巡り会えない本当に条件の良い求人を紹介してもらえる場合があります。

これも完全無料で使えます。

実際に働いている人と話する

転職フェア・転職合同説明会

人材紹介会社や人材派遣会社、または各種関係団体が主催する転職・就職フェアなどがあります。

ここに出展しているブースでは、実際の職員や経営者と直接話せるので、リアルな情報を手にできるでしょう。

友人や知人の紹介

実際に働いている人の紹介で職場を決める手もあります。

リアルで確度の高い情報が手にできるので、転職失敗のリスクを低減できるでしょう。

募集要項の注意点

興味を持った介護求人から確認すべき点は以下の通りです。

基本事項

募集職種や雇用形態はもちろん、書かれている仕事内容から実際の業務をイメージして、自分の希望に合っていることを確認してください。

中には応募資格が設定してある場合があるので、自分が持つ資格との比較を忘れないでください。

注意事項

「3交代制あり」など勤務形態だけが記載されており、具体的な勤務時間(シフト)が無記載の場合があります。

また、「夜勤あり」と記載されているだけで、勤務回数が記載されていないケースがあります。

自身のライフスタイルと比較し、本当に勤務できるかを検討する必要があります。

教育制度

人員不足のため教育体制が未整備となっている事業所があります。

この場合、初心者にとっては厳しい勤務となり、すぐに退職に追い込まれてしまう可能性があります。

専門家が教える”絶対に”失敗しないおすすめの介護職転職【2023年最新版】

求人を探す時のポイント

■施設規模に対して採用人数が多すぎないか

■絶えず募集していないか

■他施設と比較し、給与は平均的か

■年間休日数

面接時のチェックポイント

■職員間のコミュニケーション

■施設内の清潔感(汚物臭など)

■経営者や管理職(施設長やリーダー)の人間性

■施設全体の雰囲気

ブラック介護施設かも!?危険なポイント

■いつ見ても求人が出ている

■異常に給与が高い

■殺伐としており、スタッフ間の挨拶や笑顔が少ない

■即日内定が出て、翌日からの出社を求められる

■経験者を優遇しない

■有給休暇が取得できない

■サービス残業が当たり前

■利用者からの暴力やセクハラが常態化

■当日欠勤を認めない

介護コンサル
本当に自分に合った求人を探すのは大変です。プロに相談する手もありますね。

 

介護現場での具体的な悩み

介護転職Q&A

高橋さん
プラーベートでは家事と育児に追われ、いくら時間があっても足りません。その上、介護の仕事ではとても体力が持ちません。特に夜勤があるのは体力的にもハードです。

介護コンサル
移乗介助などは詳しいやり方を理解すれば、最小の労力での対応が可能になり、腰痛を防止する体の使い方も理解できるようになるはずです。介護プロとして最小限の労力で介護技術を取得するのもテクニックのひとつです。夜勤などの不規則な勤務帯で問題があれば、体内時計の調整と、自分に合った体調管理を徹底するのがプロの仕事意識でしょう。また視点を変えて介護の仕事自体をエクササイズだと考えてみるのもひとつの方法です。体力づくりができ、お金がもらえていると思えば、少し気が楽になるのではないでしょうか。

 

渡辺さん
今の介護施設では管理職的な立場となし、シフトの管理も任されるようになりましたが、慢性的に突発的なシフトの穴埋めに追われてストレスがたまります。他の介護士の体調不良など、急な休みの調整がうまくいかず、結局自分の休みを削って辛いです

介護コンサル
シフトの調整はストレスの溜まる仕事ですね。施設の経営に直結する課題なので、すぐに体制を変えるのは難しいかもしれませんが、中長期的な対策として、パートさんの有効活用を考えるといいかもしれません。まずはこちらが困っていると伝え、十分に理解してもらいます。その上で、今よりも勤務可能な曜日や時間を増やしてもらうよう依頼するのです。あなたが困っていること、他の職員に知ってもらい、急なシフト変更の時は柔軟に協力してもらうようコンセンサスを取っておく必要があるでしょう。とにかく経営側を含め、全体で改善するよう、各方面への働きかけが重要になります。

 

小林さん
介護職に就いてから3年が経ちましたが、転職を考えています。介護職の具体的な退職理由はどんなものですか?同じように介護士からの転職を考えている人の気持ちを知りたいです

介護コンサル
退職理由で多いものは、賃金などの待遇や地位の低さ、信頼関係が構築しにくい職場環境や体力の限界などでしょうか。このような3Kと人間関係以外の主な理由としては以下のようなものが多いようです。
・経営者、管理職が自分の話を聞いてくれない
・現場の意見も聞かず、勝手になんでも決めて無理な事でも仕事だからと命令される
・人が辞めてシフトがキツくなってもねぎらいの言葉もない
・トップダウンで言いたいことも言えない
・前向きな意見や新たな取り組みはいつも却下されて、意見を出す気力もなくなった
・上司が指示を出すだけでリーダーの自覚がなく、現場の現状を理解しようとしない
・問題のある管理職の経営者が放置している
・介護職員を大事にせず、単なる使用人として扱う経営者を信用できない
・責任と義務ばかり要求されるが、権限を与えられない
・経営陣同士の仲が悪く、会社全体が暗い
・パワハラやセクハラが暗黙の了解で放置されている
・会社に発展性や将来性を感じない

 

高橋さん
中堅の介護士として後輩を指導する立場になりました。しかし、人をまとめるのは大変です。後輩職員を叱るとすぐに辞めてしまいそうで怖くて叱れません。特に20代の若い介護職員は精神的に弱そうなので、気を使います

介護コンサル
怒ると叱るは全く別物です。叱るのは相手にもっと成長してほしいとの期待感を含めた前向きの是正ですから、それを理解してもらいながら、お互いに成長していけるように努めましょう。叱る際は場所や状況も配慮して、できれば1対1で冷静に改めるべきポイントを伝えることが大切です。叱った後は「少し厳しく言ったけど、あなたには改善できる能力があると思って期待しているんです」とフォローを忘れずに行ってください。

 

渡辺さん
最初は天職だと思っていましたが、介護の仕事をしているうちに、この仕事は自分に合ってないような気がしてきました。介護以外の仕事に転職しようと思っています

介護コンサル
介護の仕事を辞める理由は「きつい」「給料が安い」「人間関係が嫌だ」「責任が重い」などがあるようです。その気持ちはよくわかります。介護は決して奉仕ではありません。あくまでプロとして意識の高い人の職場であるはずなのに、辞めていってしまう人が多いのは向いていない人が安易に自分の適性を理解せず、介護という心身ともに高いスキルを求められる仕事を簡単に選んでしまうからではないでしょうか。介護はサービス業なので、人とのコミュニケーションが苦手な人には向いていない仕事です。夜勤などもあるので、体力に自信のない人には厳しいかもしれません。高齢者が相手なので、医療とも密接な関係があり、豊富な知識が必要であって、専門的な技術も求められます。このように、気持ちの面で充実していないと継続するのが難しい仕事なのは間違いありません。人手不足は慢性化しており、求人は常にあるため、この業界に戻るのは比較的容易だと思います。事実、離職した人が戻ってくるのも介護業界の特徴のひとつです。しかし、転職をするたびに、キャリアがリセットされてしまう可能性があるので注意が必要です。一度、介護業界を離れてしまえば、給料は最低レベルから始めなければいけなくなるかもしれないのです。このあたりを十分考慮して転職を考えてみてください。

 

小林さん
介護職の離職率が高い理由は何でしょうか?

介護コンサル
辞める原因の多くは「賃金」と「地位の低さ」に集約されるかもしれません。しかし賃金に関して言えば、それを承知の上で、この業界に入ってきたはずです。慢性的な人手不足のため多忙を極め、その割に低賃金であると感じる人が多いのも事実ですが、それでもやりがいを持って介護職を頑張っている人がいるのもひとつの側面です。また人間関係に悩んでいる人が多いのも事実でしょう。職員同士責任が重く忙しく働いているため、体力的にも非常に厳しく、メンタル面でも限界が来てしまうケースがあるのです。この事実を経営者が理解してくれればいいのですが、現場の実態を把握しない経営者がいれば、そのギャップに悩むかもしれません。介護職は利用者に何かを強制させる仕事ではなく、言葉やジェスチャーなど、あらゆる手段を通じて深いコミニケーションをとっていく仕事です。そんな毎日の工夫や発見の感動が新鮮で、それを嬉しかったり面白かったり楽しいと思えなければ、介護の仕事を続ける事は難しくなるかもしれません。誰もが最初は高い志を持って介護職につくのですが、頑張っても変わらない環境や労働状況に失望し燃え尽き症候群になってしまうケースも散見されます。しかし、人が人を元気にする素晴らしい仕事が介護職であると言う、他の職業には無いメリットに注目すると、もう一度やる気が湧いてくるかもしれません。

 

高橋さん
非常勤のヘルパーは離職率が高く、辞めては、また採用し、そしてすぐ辞める。それを繰り返してばかりで、慢性的な人手不足で困っています。なにか対処法はないものでしょうか?

介護コンサル
登録型の非常勤ヘルパーを多く抱えている事業所は、離職を前提に人材を確保して管理体制を整えておく必要があるでしょう。どんな人を採用するべきかを明確にしておき、採用の段階で欲しい人材を見極めて、離職率を下げておくことが何より重要になります。採用の時に転職が多い人や、短期間で職場を変わっている人は、また辞めてしまうリスクがあるので警戒する必要があるかもしれません。また、面接の時に希望の年収を聞いておく事はとても重要です。希望の収入に満たないため不満をためて、もっと割のいいところに移ってしまう事は介護業界においては珍しくありません。そうならないためにも希望の条件をしっかりすり合わせてお互いに不満を溜めないような状態にして仕事を始めるようにしなければいけません。

 

渡辺さん
最近、元気がなくなってしまった職員がいます。元々引っ込み思案であまりコミュニケーションをしたがらない介護士です。どう対応すればいいのでしょうか?

介護コンサル
それは心配ですね。率直にその理由を聞いてみるといいかもしれません。もし、その理由がプライベートな事で深く立入ないのであれば、「何かあればいつでも相談してね」と心配していることだけは伝えておきましょう。もし元気のない理由が業務上の原因であれば、その理由をしっかりと把握して解決する方向へサポートしてあげてください。希望に向けて頑張っている人ほど些細なきっかけでモチベーションを落としてしまう場合があります。いわゆる「燃え尽き症候群」です。このような場合のメンタルヘルスケアは非常に難しく、単純に頑張れと励ましても本人に届かない場合が多いと思います。無理に頑張らせようとせず、心を落ち着かせ、しばらくの間、休むことなどを提案してもいいかもしれません。とにかく不満や不安を溜め込ませないようにするのが大切です。組織の中で気軽に相談できる体制をつくりながら、役割の分担を見直してみてください。

 

小林さん
他の介護職員のモチベーションを下げるような士気の低い介護職員がいます。このままだと悪影響が出るのではないかと心配しています

介護コンサル
介護の現場で仕事に対する責任感のない人や、後ろ向きな発言ばかりをする人もいれば、周りのモチベーションが下がってしまう事は疑いの余地が無いでしょう。そのような人の考え方をすぐに変えるのは難しいのですが、今の職場で活かせるスキルを見つけ出してあげて、気持ちを前向きにできる仕事を与えてみることを考えてください。このような人は自分が認められず、組織に反発して腐っている可能性もあります。そうだとすると「あなたを必要としている」「あなたを大切な仲間だと思っている」と伝えることが必要かもしれません。自分が必要だと認めてもらえば、気持ちを前向きにするかもしれません。

 

高橋さん
介護施設内の人事制度や労務管理が全くできていません。組織に必要な機能がないので、いつか破綻しような気がしています

介護コンサル
これは非常に困った問題です。介護職の離職率が上がっているのは、賃金や評価や教育の制度が整っておらず、そこに不満を持っているのが一面なのです。働く環境が整備されていない事は介護職員の意欲を低下させてしまい不安や悩みを生じさせてしまうかもしれません。介護業界は労務管理の整備ができていない典型的な業界です。介護職員を正しく管理しようとするなら、まずは自分たちの提供する職場環境を整備しなければ、職員たちは働きがいを見つけ出せないでしょう。ひとまず、事業規模や実情に合ったシンプルでわかりやすく、継続して実施可能な簡単な人事制度や労務管理体制を整備してください。ベースができれば、後はそれをブラッシュアップしていけると思います。

 

渡辺さん
仕事ができないので、介護の現場で浮いてしまっています

介護コンサル
良い介護職員は食事の介助やおむつ交換が素早くできる人ではありません。ひとりで何でも手際よく仕事を消化し、夜勤なども積極的にこなせる人でもありません。利用者の声を正しく聴き、その思いをまっすぐ汲み取れる人。そのために、高い技術と知識を得ようと努力できる人。利用者の幸せと人権を尊重する意識の高い人。そんな介護士こそが、本当に必要とされ評価されるべき人なのです。仕事ができないのを後ろめたく思うのではなく、あなたはあなたのままで利用者の声に寄り添ってみてください。できないことをできないと認め、素直に周りの人に教えを乞うてください。その素直な言動を見て周りの人はあなたの評価を変えるでしょう。それにより、あなたは大切な仲間として扱われるはずです。

 

小林さん
介護職員のやる気がなく、ただ仕事を消化するだけになっています

介護コンサル
人は働く意味を見出せないとモチベーションを下げてしまう生き物です。あなたの周りの介護職員は働く意味を見つけ出せていないのかもしれません。まず、そういった人に「あなたをいつも見ている」と伝えてあげてください。人は誰かに見られているとやる気を出せるようになります。まめに声をかけてあげれば、安心感とやりがいが生み出されるでしょう。見られている安心感によりモチベーションを上げ、さらに介護の技術的なサポートにより、成長を実感させられれば、介護の仕事にやり甲斐を感じてくれるはずです。

介護転職のまとめ

もし、本気で介護職を辞めたいと考えているなら、転職を考えてもいいかもしれません。

介護職専門の転職サイトなら、豊富な求人があるので、きっとあなたに合った職場が見つかるはずです。

介護関連の情報を取得できるサイト

ミラクス介護

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